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営農型太陽光と普通の太陽光発電は何が違う?茶農家向けに仕組みを解説

茶畑をはじめとした農地の上に太陽光パネルが並んでいる風景を見たことはありませんか? 写真などを見て、「一般的な太陽光発電と何が違うのだろう」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。

こうしたタイプの太陽光発電施設を「営農型太陽光発電」と呼びます。

営農型太陽光発電は、英語では「アグリボルタイクス」、日本では「ソーラーシェアリング」とも呼ばれています。ただし、農地に太陽光パネルを設置すれば、すべて営農型太陽光になるというわけではありません。

両者の最も大きな違いは、パネルの種類ではなく、太陽光発電設備の下で農業を継続するかどうかです。

この記事では、営農型太陽光と一般的な野立て太陽光発電の違いを、土地の使い方・設備の構造・必要な手続・発電した電気の使い方という四つの視点から解説します。

営農型太陽光の制度や地域との合意形成について詳しく知りたい方は、先に「営農型太陽光とは何か。地域に受け入れられる“農業を支える再エネ”の条件」もご覧ください。

営農型太陽光発電とは

農林水産省では、営農型太陽光発電について農地に簡易な構造で容易に撤去できる支柱を立て、その上部に太陽光発電設備を設置し、営農を継続しながら発電する取り組みと説明しています。

パネルは農地をすべて覆うのではなく、作物に必要な日射や農作業のための空間を考慮して配置します。そのため、設備の高さや支柱の間隔も、下で使用する農業機械に合わせて設計する必要があります。

つまり、一つの農地を「農作物を育てる場所」と「電気をつくる場所」の両方に活用する仕組みです。

ただし、発電を始めた後も農業を適切に続けることが営農型太陽光の前提となっています。「まず太陽光パネルをできるだけ多く設置し、余った場所で農業をする」という考え方ではありません。営農計画を立て、その計画に合わせて発電設備を設計することが基本となります。

一般的な太陽光発電との違い

ここでは、土地に架台を設置する一般的な「野立て太陽光発電」と比較します。建物の屋根に設置する住宅用・事業所用太陽光発電とは、設置条件が異なります。

比較項目営農型太陽光発電一般的な野立て太陽光発電
土地の使い方パネルの下で農業を続ける主に発電設備を設置する土地として使う
主な目的農業の継続と発電の両立発電
設備の構造農作業ができる高さと支柱間隔を確保する発電効率や維持管理、安全性などを考えて配置する
農地で設置する場合支柱部分について農地法上の一時転用許可を受ける農業をやめて発電用地にする場合は、原則として対象農地の転用許可等が必要
設置後の農業適切な営農の継続が必要農業の継続を前提としない
農業に関する報告栽培実績や農業収支などの年次報告が必要営農型太陽光としての農業報告はない

どちらも土地に太陽光パネルが設置されているという条件は同じですが、制度上も運用上も全く別の取り組みです。農地を転用して一面にパネルを設置し、その場所で農業を行っていない場合は「営農型太陽光」とは呼べません。

違い1 農地を残し、農業を続ける

一般的な野立て太陽光発電は、土地を発電設備の設置場所として利用します。一方、営農型太陽光では、設備を設置した後も、その土地は農地として利用されます。

農林水産省のガイドラインでも、発電事業を行っている間、パネルの下で適切に営農を続けることが求められています。また、農作物の生産に支障が生じていないかを確認するため、原則として年に一度、栽培実績や農業収支などを報告します。

この仕組みが設けられているのは、営農型太陽光が「発電設備のある農地」として定められており、農業を形だけ残すような制度ではないためです。

茶園であれば、パネルを設置した後も、茶樹の管理・施肥・防除・除草・摘採・更新などを続けられる計画が必要です。現在使っている茶刈機が安全に通れるか、支柱が旋回や摘採作業の妨げにならないかといった点も、導入前に確認しなければなりません。

違い2 農作業を起点に設備を設計する

一般的な太陽光発電では、日射条件・地形・発電量・安全性・保守点検のしやすさなどを考えて設備を設計します。

もちろん営農型太陽光でもこれらの検討は必要ですが、これに加えて次のような農業上の条件が加わります。

  • 栽培する作物に必要な日射量を確保できるか
  • パネルの高さと支柱間隔が農業機械に合っているか
  • 支柱や配線が日常の作業を妨げないか
  • パネルから流れる雨水が一部に集中しないか
  • 設備の点検と農作業を無理なく両立できるか

農林水産省の『取組支援ガイドブック』でも、作目に適した日射量、農作業を行える高さと間隔、雨水や排水、周辺農地への影響などを確認項目として挙げています。

とくに茶畑では、乗用型摘採機や可搬型摘採機など、農家ごとに使用する機械が異なります。すべての茶園に同じ形の架台を設置するのではなく、畝の方向・機械の高さと幅・作業動線・栽培する品種などを確認したうえで設計することが重要です。

違い3 農地法に基づく一時転用許可が必要になる

営農型太陽光発電では、農地に立てる支柱部分について、農地法に基づく一時転用許可を受ける必要があります。

「農業を続けるのだから、農地転用は必要ないのでは」と思われるかもしれません。しかし、支柱部分は農業以外の目的にも使われるため、その部分について許可を受ける仕組みになっています。

申請時には、設備の計画だけでなく、下部農地の営農計画、農作物への影響見込み、設備撤去に関する考え方なども確認されます。設備の設置者と営農者が異なり、上部空間に区分地上権などを設定する場合には、農地法第3条第1項の許可が必要になることもあります。

一方、農地で農業をやめ、一般的な太陽光発電所として利用する場合は、原則として対象となる農地を発電用地へ転用する手続きが必要です。どのような許可が必要かは、農地の区分や計画内容によって異なるため、早い段階で農業委員会や自治体へ相談することが大切です。

※本記事の制度説明は2026年8月時点の公表資料を基にしています。個別案件の手続については、必ず管轄する農業委員会、自治体、農地転用許可権者などへご確認ください。

違い4 発電した電気の使い方を選べる

営農型太陽光で発電した電気は、制度や事業計画に応じて売電するほか、農業用施設などで自家利用する方法も考えられます。

ただし、営農型太陽光を導入すれば、農家が自動的に売電収入を受け取れるわけではありません。農家自身が発電事業者になる場合もあれば、発電事業者と農家がそれぞれ発電と営農を担当する場合もあります。

誰が設備を所有するのか、誰が維持管理費を負担するのか、農家にはどのような利益が還元されるのかは、事業の仕組みや契約によって変わります。導入を検討するときは、予想発電量や売電条件だけでなく、農業側の収支と役割分担を含めて確認することが欠かせません。

なお、TEA ENERGYがご提供している営農型太陽光は、企業が発電設備を所有して農家が営農を行う形式が基本となります。売電収入の一部を農家に還元するほか、太陽光設備の架台を碾茶用の被覆棚としても活用できることが大きな特徴となっています。

茶畑で営農型太陽光を検討する意味

茶栽培では、茶の品種や生産目的に応じて、日射の調整が品質管理の一部になることがあります。たとえば抹茶の原料となる碾茶の栽培では、摘採前に茶園を被覆して光を遮る工程が重要です。

茶園に遮光資材を直接被せる方法もありますが、茶樹へのダメージや風で擦れることによるお茶の品質低下は防げません。そこで京都で昔から行われているのが、「棚」と呼ばれる枠を茶園の上部に設置し、その上に遮光資材を被せる方法です。

茶畑で営農型太陽光を検討する大きなメリットとなるのが、太陽光設備の架台を「棚」として利用できることです。TEA ENERGYでは、架台にワイヤーで手軽に遮光資材を設置し、遮光棚としても活用できるように設計しています。

もちろん、遮光すればどの茶園でも収量や品質が向上するというわけではありません。

茶樹の品種、地域の気象条件、畝の向き、パネルの配置、遮光の程度などによって影響は変わります。必要な光まで遮ってしまえば、生育や収量に悪影響を及ぼす可能性もあります。発電量だけで判断せず、どのようなお茶を、どのような方法で生産するのかを先に決めることが重要です。

TEA ENERGYでは、お茶に特化した営農型太陽光発電事業として、茶農家が保有する茶刈機の高さと幅を考慮した設備設計や、専用架台を碾茶栽培の遮光棚として活用する仕組みを提案しています。

詳しい取り組みは「営農型太陽光発電」のページでご紹介しています。

営農型太陽光に関するよくある疑問

Q. 農地に太陽光パネルがあれば、すべて営農型太陽光ですか?

いいえ。パネルの下で適切に農業を継続することが営農型太陽光の前提です。農地を発電用地へ転用し、農業を行わない設備は営農型太陽光ではありません。

Q. パネルを設置した後も、これまでと同じ農作業ができますか?

設備の高さ、支柱間隔、作業動線が適切に設計されていれば、パネル下で従来通りの農業機械を使用することも可能です。ただし、支柱が増えることで作業方法や所要時間が変わる場合があります。導入前に、実際に使う農業機械を基準として確認する必要があります。

Q. 営農型太陽光は茶畑なら必ず導入できますか?

必ず導入できるわけではありません。農地の区分、地域計画との整合、周辺農地への影響、営農計画、系統接続、設備の安全性などを個別に確認する必要があります。

Q. 農家自身が発電事業を行う必要がありますか?

農家と発電事業者が同じ場合も、異なる場合もあります。設備の所有、費用負担、農業の継続体制、利益の還元方法などを契約前に明確にしておくことが重要です。TEA ENERGYがご提案する営農型太陽光の場合は、基本的に農家自身は売電を行いません。

まとめ 営農型太陽光の中心にあるのは「農業」

営農型太陽光と一般的な太陽光発電の最も大きな違いは、設備の形ではなく、農業を継続することが事業の前提になっている点です。

営農型太陽光では、農地の上部で発電しながら、下部で農作物を育て続けます。そのため、パネルの配置や支柱の間隔も、発電量だけでなく、作物の生育や農作業を基準として決めなければなりません。

茶畑への導入を考える際も、「どれだけ発電できるか」からではなく、「どのような茶園経営を今後も続けたいか」から検討を始めることが大切です。

TEA ENERGYでは、営農型太陽光や碾茶栽培に関心をお持ちの茶農家の皆様へ、事業内容や導入の考え方をご説明しています。所有する茶園で検討できるか知りたい方は、お問い合わせページよりお気軽にご相談ください。

参考資料

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