ブログ

抹茶ブームは10年続く!海外需要に備える農家の戦略とは

海外での抹茶需要が急拡大し、国内のお茶農家の多くが煎茶から碾茶への切り替えを加速させています。

昨今ではテレビなどでも取り上げられることが増え、気になっている方も多いのではないでしょうか。

「なぜ今、これほどまでに抹茶が注目されているのか?」

「有機抹茶のニーズとは?碾茶への転換は本当に価値があるのか?」

「営農型太陽光発電って、どう農業に役立つの?」

今回のブログでは、こういった疑問にお答えします。

この記事では、抹茶ブームの背景と今後の展望、有機転換の意義、そして気候変動にも対応できるTEA ENERGYの営農型太陽光発電について、数字と事例を交えてわかりやすく解説しています。

これからの農業に可能性を感じたい方、ぜひ最後までご覧ください。


抹茶の海外需要が急拡大している5つの理由

抹茶の海外需要が急増している背景には、いくつもの要因が絡み合っています。

ここでは、主に以下の5つの理由に絞って解説します。

①健康志向とスーパーフードとしての評価

海外での健康志向の高まりを背景に、抹茶は「スーパーフード」として注目を集めています。

抹茶には、抗酸化作用を持つカテキンや、精神を落ち着けるL-テアニンなどが豊富に含まれており、健康意識の高い層にとって魅力的な素材です。

実際に、アメリカではオーガニック抹茶市場が年率15%以上で成長しており、その勢いは加速傾向にあります。

「ドリンクとしてのお茶」ではなく、「心と体を整える食品」としての価値が見直されているのです。

こうした背景から、今後さらに需要が伸びていくと予測されています。

②欧米での抹茶スイーツ・ドリンクブーム

カフェ文化のある欧米では、抹茶ラテや抹茶ケーキなどのメニューが急速に普及しています。

特に米国・フランス・オーストラリアなどでは、スターバックスや独立系カフェがこぞって抹茶メニューを導入している状況です。

また、抹茶味のアイスクリームやビスケット、パンケーキなど、デザート分野でも使用されるケースが増えてきました。

「和の風味」を求めるトレンドともマッチしており、今後も拡大することが予想されます。

この需要が、碾茶の需要にも直接つながっているのは間違いありません。

③美容・ウェルネス市場での注目

美容やウェルネスの観点でも、抹茶はその価値を認められつつあります。

近年では、抹茶エキスを配合したスキンケア商品や、抹茶サプリメントなどが登場しています。

「自然由来でありながら、高い抗酸化力を持つ」点が高く評価されており、とくに女性層からの支持が急上昇中です。

美容に関心の高い海外ユーザー層をターゲットにした製品展開が活発になっているのです。

こうした応用展開は、抹茶需要を広げる要素のひとつとなっています。

④日本ブランドへの信頼と文化的価値

「Made in Japan」の信頼性は、抹茶にも大きな追い風となっています。

伝統ある製法や、きめ細かな品質管理によって、日本産抹茶は世界中で高く評価されています。

また、茶道や和菓子といった文化的背景も、抹茶の「ブランド力」を支えている重要な要因です。

たとえば、米国の高級オーガニックスーパーWhole Foodsでは、「Japanese matcha」と記載された製品が人気を集めています。

品質だけでなく、ストーリー性もまた、価値を高めているのです。

⑤インフルエンサーとSNSの波及効果

近年、SNSにおける抹茶レシピやレビュー投稿が急増しています。

YouTubeでは「抹茶ラテの作り方」動画が100万回以上再生されているケースもあり、Instagramでも#matchaタグは500万件以上に及んでいます(2025年現在)。

こうした視覚的な広がりは、購買意欲の高い層へダイレクトに響きます。

「バズ」から生まれる需要拡大は、従来のマーケティングを超える影響力を持っています。

抹茶はまさに“今、SNS時代に合った商品”といえるでしょう。

煎茶から碾茶へ:国内生産の転換と背景

国内の茶農家の間で、従来の煎茶から抹茶原料である碾茶への切り替えが急速に進んでいます。

この流れは、単なる商品の変更ではなく、輸出戦略や設備投資、有機転換にも関わる重要な動きです。

ここでは、碾茶とは何か、なぜ煎茶からの転換が進んでいるのかを掘り下げて解説します。

①煎茶と碾茶の違い

煎茶と碾茶は、いずれも茶葉から作られる緑茶の一種ですが、育成方法や製造工程に明確な違いがあります。

煎茶は露地で日光を浴びながら育て、蒸して揉んで乾燥させたもので、一般的な食卓に出るお茶です。

一方、碾茶は収穫前の2〜3週間、黒い覆いで直射日光を遮る「覆下栽培」により育て、蒸した後、揉まずに乾燥させたもの。

この碾茶を石臼(もしくはビーズミル等の機械)で挽いたものが「抹茶」になります。

つまり、碾茶は抹茶製造に不可欠な中間原料であり、高付加価値が期待される作物なのです。

②碾茶への切り替えが進む理由

最大の理由は、抹茶需要の爆発的増加にあります。

国内市場が縮小傾向にある一方で、海外市場は右肩上がりで拡大しており、輸出向けの栽培が経営的に有利とされるようになりました。

特にアメリカでは、碾茶の輸出量が過去5年間で3倍以上に増加しています。

煎茶に比べて収益性が高く、販路が広がっていることが、農家の決断を後押ししているのです。

さらに、JAや自治体が碾茶への転換を支援する制度も整ってきています。

③碾茶製造に必要な設備とコスト

碾茶栽培には、特殊な設備や工程が必要になります。

具体的には、以下のような設備が求められます:

必要設備概要想定コスト(目安)
覆い資材・フレーム茶園を遮光するための設備1反あたり30〜50万円
碾茶炉・乾燥機蒸し・乾燥工程を担う機械一式で数千万円
粉末加工機粉末抹茶に加工する装置一式で数千万円

初期投資は決して少なくありません。しかし、高単価な抹茶市場に対応できる体制が整うことで、数年で回収可能なケースも増えています。

④地域別の転換事例と統計

全国的に碾茶への転換が広がっていますが、とくに顕著なのが京都府・鹿児島県・静岡県などの地域です。

農林水産省の統計によると、碾茶用の茶園面積は2015年比で約170%に増加しています(2023年時点)。

2024年から2025年にかけてさらに増加し、今後も増えることま間違いありません。

こうした地域では、輸出企業や海外バイヤーとの連携が進み、地元経済にも波及効果が出ています。

また、自治体が生産者向けの碾茶栽培支援セミナーを実施するなど、強い後押しがあることも特徴です。

今後さらに多くの地域がこの流れに続くと考えられます。

有機抹茶の輸出に注目が集まる理由

世界中でオーガニック志向が高まるなか、日本の「有機抹茶」はプレミアムな商品として注目されています。

ここでは、その背景にある市場動向や認証制度、価格面、そして生産者の取り組みについてご紹介します。

①世界のオーガニック市場の拡大

欧米諸国を中心に、オーガニック食品市場は年々拡大を続けています。

その中でも、日本の有機抹茶は「健康」「クリーン」「伝統」といった要素を備えた製品として注目されています。

以下は、世界の有機抹茶市場規模の推移を示したものです:

世界の有機抹茶市場規模(億円)
2018年120
2020年170
2022年250
2024年(予測)340

このように、有機抹茶市場は2024年には340億円規模に達する見込みで、輸出ビジネスとしても成長余地が大きいといえるでしょう。

②有機認証の取得と課題

海外輸出を行う上で、「有機JAS」や「USDA Organic」といった国際的な認証取得が求められます。

認証取得には時間とコストがかかりますが、それを乗り越えることで販路が大きく開かれます。

特にアメリカでは、有機認証がない商品はオーガニックスーパーには並ばないため、取得は必須事項です。

一方で、農薬・化学肥料の使用制限に伴い、病害虫対策や雑草管理のノウハウも問われるため、技術的ハードルは低くはありません。

自治体やコンサルティング会社が提供する「有機認証サポート制度」の活用が鍵となります。

③有機抹茶の価格と需要動向

有機抹茶は、一般的な抹茶に比べて1.5〜2倍の価格帯で取引されています。

とくに欧米の高級オーガニックマーケットでは、「Japanese Organic Matcha」と明記された製品が売上上位を占めています。

この価格差は、生産者にとって魅力的なインセンティブとなり得るでしょう。

ただし、品質と信頼性を担保し続けるためには、安定供給体制と継続的な品質管理が必要不可欠です。

有機栽培のリスクを正しく理解し、持続可能な運用を図ることが求められます。

④国内生産者が取り組む有機転換事例

すでに複数の産地で、有機抹茶の生産に取り組む生産者が増えてきました。

例えば、生産者が共同で有機JAS認証を取得し、年間20トン以上の有機碾茶を生産している事例や、JAが主導してプロジェクトを立ち上げた事例などが挙げられます。

こうした事例は、有機抹茶輸出の先行モデルとして注目されており、他地域にも波及しつつあります。

持続可能で高付加価値な農業の象徴として、有機抹茶は今後もますます注目されるでしょう。

今後10年間、抹茶ブームは続くのか?展望と課題

2020年代に入り、抹茶は海外において“ブーム”から“定着”へと進化しつつあります。

今後の10年間で、抹茶需要はどう変化していくのでしょうか?

ここでは、市場予測や課題、日本の農業との関係性を整理し、持続可能な発展の鍵を探ります。

①主要輸出国の市場規模と予測

アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツといった主要国では、抹茶商品の取り扱いが年々拡大しています。

米国では2024年時点で、抹茶関連商品の市場規模は約6.5億ドル(約900億円)に達しており、今後10年間で年平均成長率(CAGR)10%で推移すると予測されています。

ドイツ・フランスなどでも抹茶入り健康食品や化粧品が普及しており、“飲料”から“ライフスタイル”商品へと展開が進んでいます。

これらの動きから見ても、抹茶は一時的な流行ではなく、グローバル市場における“定番カテゴリー”になりつつあるのです。

②日本の農業構造との関係

一方で、日本国内の農業は高齢化や後継者不足に直面しています。

茶の栽培面積も1990年代に比べて大幅に減少しており、生産力そのものが将来的な懸念材料です。

とくに碾茶は、特殊な設備・技術が必要なため、担い手不足が深刻な地域も少なくありません。

抹茶需要が伸びても、生産体制が追いつかなければ“機会損失”となってしまいます。

農業構造改革の一環として、抹茶向けの生産支援が強化されることが今後のカギとなるでしょう。

③気候変動と生産リスク

近年の猛暑や豪雨など、気候変動による影響も無視できません。

お茶は繊細な作物であり、日射・湿度・気温のバランスが品質に直結します。

夏季の高温が続くと、新芽の収量が減少したり、茶葉の成分バランスが崩れたりするリスクがあります。

こうした課題への対応として、「営農型太陽光発電」を導入し、日射制御による品質維持を図る事例も増えています。

持続的な栽培には、気候ストレスへの“適応技術”がますます重要になります。

④持続的成長に向けた戦略

抹茶の未来を支えるには、生産・流通・販売のすべてにおいて戦略的な投資と改革が必要です。

たとえば:

  • 若手農業者の育成支援
  • 有機転換に関する技術共有・補助金制度
  • 農業ICTの活用による効率化
  • 営農型太陽光発電などの環境適応技術の導入

これらの要素を組み合わせることで、「安定供給」と「品質保証」が実現し、海外市場からの信頼も獲得できます。

今後10年、抹茶ブームは終わるどころか、新たなフェーズへと突入していくと考えられます。

農業の未来を支えるTEA ENERGYの営農型太陽光発電

気候変動や収益の不安定化に直面する農業分野において、TEA ENERGY株式会社が提案する「営農型太陽光発電」は、これまでの常識を覆すアプローチとして注目を集めています。

ここでは、同社が提供するシステムの特徴と意義について、従来の営農型との違いを踏まえて解説します。

①一般的な営農型太陽光との違い

従来の営農型太陽光発電は、農地の上部に太陽光パネルを設置し、農作物を育てながら売電収入を得ることを目的としていました。

一方、TEA ENERGYのモデルは「売電を前提とせず」、茶園の環境制御と農業の持続可能性を主目的としています。

この違いにより、農業活動を制限することなく、気候リスクへの適応と環境価値の創出が可能です。

売電権や制度変更に左右されない点も、将来を見据えた持続的モデルといえるでしょう。

②日射制御による茶園保護効果

近年の猛暑や紫外線増加により、茶葉の品質低下や枯死リスクが高まっています。

TEA ENERGYの営農型太陽光設備は、適切な遮光率(例:40〜60%)を維持することで、日射ストレスを軽減し、茶園の環境を安定させることも大きな特徴です。

また、遮光によって適度な温度と湿度が保たれるため、病害虫の発生リスクも抑制される傾向にあります。

農業技術とエネルギー技術を融合したアプローチが、品質と安定の両立を実現しています。

③有機転換との相性

有機農業では、化学農薬や化学肥料の使用が制限されるため、栽培環境を安定させることが極めて重要です。

TEA ENERGYのシステムでは、日射制御により作物のストレスを軽減できるため、病気の発生を抑えやすく、農薬に頼らない管理がしやすくなります。

また、一部の研究では、営農型太陽光発電による日射制御が微気象に影響を与え、雑草の発生抑制にもつながる可能性が示唆されています。

こうした観点から、有機転換を検討する農家にとっては、大きな支援装置となり得るでしょう。

エネルギーと農業の相乗効果を最大化する、新しい農業支援技術です。

④収益ではなく持続可能性を生む仕組み

本システムの最大の特徴は、「売電収入に依存しないこと」です。

再エネ価値を活用して、環境認証やESG投資と結びつける仕組みが整備されており、脱炭素に取り組む企業や自治体と連携するモデルが構築されています。

その結果、農家は安定した環境での生産に集中でき、社会全体の持続可能性にも寄与できます。

“環境価値が利益を生む時代”に対応した農業モデルといえるでしょう。

このような取り組みが、次世代の茶業と農業全体にとって重要な指針となっていくはずです。


世界的に抹茶のニーズは今も拡大を続けており、少なくとも今後10年は安定した需要が見込まれています。

それに応じて、煎茶から碾茶への生産転換や、有機抹茶への取り組みは、日本の茶業にとって大きなチャンスです。

ただし、その波に乗るためには、気候変動への備えや生産体制の安定が不可欠です。

その一手として、TEA ENERGYの営農型太陽光発電のような新しいアプローチが今、注目されています。

持続可能な農業の未来をともに描く一歩として、できることから始めてみませんか?

関連記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP