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猛暑・日照りから茶樹を守る!営農型太陽光発電の実力と有機転換の可能性

2025年の夏も例年以上の猛暑が続いています。

全国の茶園では、前年の高温と日照りによる葉焼けや品質低下が深刻化し、収穫量にも大きな影響が出ました。

実際に、主要産地では前年よりも20%以上の収量減となった地域もあり、農家の経営に大きな打撃を与えています。

こうした気候変動リスクに対応するために注目されているのが、「営農型太陽光発電」の活用です。

本記事では、猛暑の影響と今後の気象予測を踏まえながら、日射対策や有機転換、抹茶生産などの動向について詳しく解説します。

また、TEA ENERGYが提供する営農型太陽光発電の仕組みやメリットについても紹介していきます。


猛暑による茶樹への影響と収量減少の現実

猛暑による茶樹への影響と収量減少の現実について解説します。

①猛暑による生理障害

猛暑が続くと、茶樹にとって深刻な生理的ストレスがかかります。

特に35℃を超える日が連続した際に起こるのが、茶葉の生育に必要な光合成能力の著しい低下です。

葉の蒸散量も増え、水分不足に陥りやすくなります。

結果として、新芽の展開が遅れたり、葉が小さくなったりといった品質の低下が見られるのです。

これは長期的な樹勢の衰えにもつながりかねません。

このような生理障害は、見えにくいものの深刻なリスクです。

②葉焼けや日照ストレスの拡大

猛暑と強い日射が重なることで、茶葉の「葉焼け」が増加しています。

葉焼けとは、強すぎる日射により葉が褐変または黒変し、品質が著しく劣化する現象です。

露地茶園では、気温が40℃近くまで達することも珍しくはありません。

その結果、茶葉が傷みやすくなり、一番茶以降の収量と品質に大きく影響するのです。

葉焼けによる損失は、全体収穫量の5〜15%に及ぶケースも報告されています。

③2024年の気温と収量への影響データ

以下は、2024年6月~9月の気象データと収量の影響をまとめた表です。

地域平均最高気温(6〜9月)前年比の収量減少率
静岡県中部34.8℃-12%
鹿児島県南部36.1℃-18%
京都府南部36.4℃-15%

このように、気温が1〜2℃高いだけでも、収量に10%以上の悪影響を与えることが明らかになっています。

なお、2025年6月から7月にかけての速報値でも、各地で依然として35℃前後の高温が記録されています。

特に鹿児島県南部や京都府南部では、前年と同程度の厳しい気温が観測されており、猛暑の再来が懸念されています。

このまま8月〜9月にかけても高温傾向が続けば、2025年の収量にもさらなる影響が及ぶ可能性が否定できません。

前年よりわずかに気温が下がった地域もありますが、茶樹のダメージが蓄積されていることを考慮すれば、来年以降の安定生産に対する警戒は引き続き必要です。

④農家の収入減少と経営リスク

収量が減少すると、それはすぐに農家の収入減へと直結します。

1反(約10アール)あたりの収益が平均で2万円以上減少したというデータも出ています。

また、品質低下によって等級が落ちることで、市場価格の下落も招いてしまうのです。

このような収益の不安定化は、特に小規模な農家にとっては経営そのものを揺るがす問題です。

気象変動に対するリスクマネジメントが急務であることは間違いありません。

煎茶から碾茶・抹茶栽培へ転換する意味

①抹茶需要と市場の広がり

2025年に入り、抹茶の国際需要は急激に拡大しました。

特に北米・欧州を中心に、抹茶が健康志向食品・機能性成分として再注目され、「抹茶バブル」とも呼ばれる状況が生まれています。

日本国内でも食品メーカー・飲料大手による業務用需要が高まり、市場はかつてない活況を呈しています。

実際、碾茶(抹茶原料)の2025年の取引価格は1kgあたり6,800円前後まで上昇し、前年と比べて約62%も高騰しました。

こうした背景から、煎茶から碾茶・抹茶への転換は経営判断としても重要な転機となりつつあります。

②碾茶栽培と猛暑による新たな課題

上記の通り、碾茶栽培はこれから先も大きなチャンスを生み出す産業となることは間違いないでしょう。

しかしながら、碾茶の遮光(被覆)工程は収穫直前の春~初夏に行われ、猛暑が本格化する7月以降に遮光することはないため、煎茶同様に猛暑対策は必要です。

さらに、資材で長期間被覆された茶樹が被覆を外した直後に強い日射を浴びると、葉焼けが一気に進行するケースも報告されています。

つまり、碾茶栽培が猛暑対策になるとは限らず、むしろ新たなリスクが顕在化しているのが実情です。

抹茶需要が拡大している今だからこそ、収量を確保し、高品質な碾茶を安定供給するための猛暑対策が急務といえるでしょう。

③営農型太陽光発電による日射制御と気温緩和

そこで注目されているのが、茶園に太陽光パネルを設置する「営農型太陽光発電」の活用です。

この方式では、パネルが遮光効果を発揮し、直射日光による葉焼けを物理的に抑えることができます。

また、パネル下の地表温度が低下し、茶樹の根への負荷軽減や蒸散の抑制にもつながります。

とくに7月〜9月にかけての高温期において、自然遮蔽を兼ねる太陽光パネルは、碾茶・煎茶を問わず全ての栽培形態において有効な猛暑対策となるでしょう。

収量を守り、品質を安定させるためには、遮光構造の見直しとともに、長期的な気象変動への備えが必要不可欠です。

④収益構造と販売単価の違い

以下は、2025年の想定データをもとにした煎茶と碾茶の収益モデルの比較です。

項目煎茶碾茶
平均販売単価(円/kg)1,8006,800
平均収量(kg/10a)200120
10aあたり売上(円)360,000816,000

このように、販売単価が圧倒的に高い碾茶は、収量が多少減っても収益性で大きく上回ります。

猛暑対策という観点からだけでなく、農業経営を持続可能にしていく上でも、碾茶への転換は有力な選択肢といえます。

有機転換と脱農薬への取り組み

ここでは、有機栽培への転換や農薬・除草剤の削減について、具体的なポイントをご紹介します。

①有機JAS認証の条件とメリット

有機JAS認証を取得するには、過去2年以上農薬や化学肥料を使用していないことが条件とされ、実際に有機農産物として出荷するには3年以上の管理実績が必要です。

また、第三者機関の検査を毎年受けることも義務づけられています。

その分、認証を取得した製品には「有機JASマーク」を表示できるため、差別化が可能となるのです。

販売価格も平均して1.5倍〜2倍に上昇するケースが多く、ブランド価値の向上につながります。

とくに健康志向の高い消費者にとっては、大きな購入動機になるでしょう。

②除草・防除管理の変化

有機栽培に移行すると、除草や防除の方法も大きく変わります。

化学除草剤が使えないため、草刈機やマルチング、手作業による草取りが必要になります。

昨今では、スチーム式の除草機なども販売されるようになりました。

防除においても、BT剤や天敵昆虫、天然由来の農薬などを用いた方法が中心になります。

その分、手間がかかることは事実ですが、環境や健康に優しい栽培が可能です。

近年では、ドローンによる物理的防除やAI予測による防除タイミング管理なども活用が進んでいます。

③海外輸出に向けた有機栽培の価値

欧米を中心に、有機認証を持つ茶葉のニーズは年々高まっています。

とくに北米市場では「USDA ORGANIC」や「EU ORGANIC」などの規格を満たした製品への需要が顕著です。

有機JAS認証はこれらと相互認証されているため、取得することで輸出向け商品の強みとなるのです。

日本の有機抹茶は、2023年時点で前年比18%の輸出増を記録しており、今後も成長が期待されています。

環境配慮と品質を両立した「安心・安全なお茶」は、世界市場でも十分な競争力を持っています。

④化学農薬からの脱却による安心感

有機栽培の最大のメリットの一つが「飲む人の安心感」です。

残留農薬のリスクがほぼゼロになるため、小さなお子さんや妊婦の方にも安心して提供できます。

また、農業に従事する本人や周囲の環境にも優しい選択となります。

SDGsや脱炭素といった文脈でも、有機農業の価値はますます高まっていくでしょう。

持続可能な農業として、社会的評価も年々向上しています。

猛暑と日照り対策としての営農型太陽光発電の効果

ここでは、猛暑が続くなかで注目されている「営農型太陽光発電」が、どのように茶園を守るかを解説します。

①パネルによる直射日光の軽減

営農型太陽光発電では、農地の上に設置された太陽光パネルが「人工的な日陰」を作り出します。

これにより、夏場の強すぎる日射を適度に遮ることができ、葉焼けや過度な光合成ストレスを抑制できるのです。

パネルの遮光率は30〜50%に設計されており、茶樹に必要な光を確保しつつも過剰な直射を軽減します。

もともとお茶は十分な日射がなくても育つ「半陰性」の植物であり、遮光環境は生育に大きな影響を及ぼしません。

暑さに弱い若木や有機転換中の茶園にも最適な保護手段と言えるでしょう。

②パネル下の気温低下と蒸散抑制

夏場の気温が38℃を超える日も多いなか、パネル下では地表温度が3〜6℃程度低下する事例が報告されています。

これは、直射日光を遮ることで地面の熱吸収を抑えられるからです。

また、空気の対流が起こるように設計されているため、風通しが確保され蒸し暑さも軽減されます。

この冷却効果により、茶樹の水分蒸散が抑えられ、水分ストレスの軽減にも寄与するのです。

結果として、安定した生育環境が実現します。

③土壌水分と茶樹の生育への効果

パネル下は土壌からの蒸発が抑えられるため、水分保持性が向上します。

特に雨の少ない年や、水源に乏しい地域では、この効果が非常に重要です。

以下は、パネル有無による土壌水分量の比較です(7月測定値)。

環境土壌水分量(%)
パネルなし(露地)13.4%
パネルあり(下部)21.7%

このように、パネル下では8%以上も土壌水分が保たれており、灌水頻度を減らすことも可能になります。

TEA ENERGYの営農型太陽光発電の特徴と導入メリット

ここでは、TEA ENERGYが提供する営農型太陽光発電の具体的な特徴や、導入によるメリットを紹介します。

①売電なしで導入できる仕組み

TEA ENERGYの営農型太陽光発電は、農家が売電収入を得る形ではありません。

設備導入・運用にかかる費用はTEA ENERGY側が担い、農家には無償で被覆棚として活用できる太陽光パネルの設置を行うモデルです。

農家はパネル下で高品質な碾茶を栽培することができ、さらに土地の賃料を得ることができます。

この仕組みにより、設備投資リスクを背負うことなく、猛暑対策や有機転換の恩恵を受けることが可能になります。

売電による収支管理も不要なため、複雑な手続きが苦手な方でも安心して利用できます。

②営農継続が可能な設計

パネルの設置は、茶園の作業性を損なわないように設計されています。

具体的には、茶摘み機や防除機械が通れるように、支柱間隔(4~6m)や地上高(4m~)が工夫されています。

また、茶園の景観や栽培条件に応じて最適なパネル角度や配置も柔軟に対応可能です。

そのため、通常の栽培スケジュールや営農作業にほとんど影響を与えません。

既存茶園への導入もスムーズに行える点が、高い評価を受けています。

③施工事例と成果紹介

TEA ENERGYでは、すでにいくつかの茶園で営農型太陽光発電の設置と運用を行っています。

ここでは具体的な地域名や農園名は控えますが、導入事例の一部をご紹介します。

事例A:猛暑対策と収量安定を両立

猛暑による葉焼け被害に悩まされていた茶園で、営農型太陽光発電を導入。

遮光率を30〜40%に調整する設計により、直射日光による茶葉の損傷が減少。

結果として、一番茶から三番茶までの収量が前年同時期と比べて12%改善されました。

品質面でも等級の安定化が見られたと報告されています。

事例B:品質向上と作業環境の改善

別の茶園では、日中の畝間温度が45℃近くに達していたため、作業効率と安全性が課題となっていました。

太陽光パネル設置後は、パネル下の気温が最大で8℃低下。

作業負荷が軽減されただけでなく、葉の蒸散量や乾燥も抑えられ、二番茶・三番茶の品質向上にも寄与しています。

事例C:有機転換を見据えた環境制御

有機JAS認証を目指す茶園では、除草剤や農薬の使用を制限するなかで、栽培環境の安定が求められていました。

営農型太陽光発電によって日射と地温を制御することで、雑草の繁茂が抑えられ、管理作業の負担も軽減。

資材使用の最適化により、認証取得に向けた体制整備がスムーズに進んでいます。

④今後の展開と相談窓口

TEA ENERGYでは、全国の茶園を対象に順次導入を拡大しています。

営農支援に加え、気象データやAI分析を活用した「スマートアグリ化」も推進中です。

導入を検討している方には、現地調査から制度説明、行政手続きのサポートまで一貫して対応します。

まずはお気軽に、TEA ENERGY公式サイトの相談窓口よりお問い合わせください。

未来の茶園経営を、私たちと一緒に考えていきましょう。

新しいお茶農業のかたちと持続可能性への提案

これまでの取り組みや課題を踏まえ、持続可能なお茶農業の新たな展望について考察します。

①カーボンニュートラルへの貢献

営農型太陽光発電は、再生可能エネルギーを農業と融合させる取り組みです。

これにより、茶園は単なる生産現場から「CO₂削減にも寄与するグリーンインフラ」へと進化します。

また、有機転換との相乗効果により、土壌中の炭素固定や生物多様性の保全にも貢献します。

農業分野からの脱炭素へのアプローチは、社会的責任として今後ますます重要になるでしょう。

農地を活用した環境価値創出は、大企業との連携も視野に入れるべき新たな収益モデルです。

②若手農家・新規就農者の可能性

猛暑や価格変動、販路の課題などが続く中、新たな農業の形に注目が集まっています。

とくに、ICT活用や環境配慮を前提とした営農は、若手や異業種からの参入を後押ししています。

TEA ENERGYでは、農地所有者との連携モデルや地域おこし協力隊との協働も模索中です。

「お茶×再生可能エネルギー」という切り口は、農業の仕事を多様にし、やりがいのある産業へと再定義します。

地域社会の担い手として、次世代農家を育てる素地をつくることも目標の一つです。

③地域循環と環境保全の両立

有機農業、再エネ発電、地域雇用──これらを組み合わせた取り組みが「地域循環型農業」です。

たとえば、パネル設置で新たな工事や保守業務が発生すれば、地元事業者の雇用創出にもつながります。

また、有機栽培の普及により、水系や生態系への影響も抑制され、環境保全にも寄与します。

さらに、地産地消の強化や地元カフェ・土産物店との連携により、観光資源としての魅力も高まります。

農業を起点とした地域活性化の好循環を目指すべき時代は、すでに到来しているのです。

④農業の未来とTEA ENERGYの役割

今後の農業は「作って終わり」ではなく、「社会価値を創造する」フェーズに入っています。

TEA ENERGYは、単なる設備提供企業ではなく、茶農業の未来を共創するパートナーとしての役割を果たす企業です。

猛暑対策や有機転換、若手育成、地域再生──これらを総合的に支援できる体制を整えています。

気候変動の時代にあっても、美味しいお茶を未来につなぐために。

TEA ENERGYは、持続可能な茶園経営の実現に向けて、これからも取り組みを進めてまいります。


気候変動が激しさを増す中で、茶業を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。

猛暑による茶樹へのダメージや収量の減少は、単なる一過性の問題ではありません。

今こそ、農業の現場においても持続可能性や環境対応の視点を強化する必要があります。

営農型太陽光発電の導入は、茶樹の環境ストレスを和らげるだけでなく、有機栽培や碾茶への転換とも親和性が高いソリューションです。

TEA ENERGYは、こうした取り組みを支援しながら、次世代のお茶農業を共に創造していきます。

持続可能で価値ある農業を未来へとつなぐために、今できる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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